日本耳鼻咽喉科学会香川県地方部会・香川県耳鼻咽喉科医会:香川みみ・はな・のど便利帳

花粉症

花粉症は主に空中に浮遊している花粉が原因のⅠ型アレルギーで、日本では20~30%の方が花粉症と言われています。花粉症症状のうち鼻の症状をアレルギー性鼻炎と言ったり、アレルギー性鼻炎の中で花粉が原因の場合を花粉症と言ったりもします。

(症状と原因)

主な症状はくしゃみ、鼻みず、鼻づまり、目のかゆみです。最近は日常生活への支障度だけではなく、睡眠障害を引き起こす原因疾患として注目されています。 日本で患者さんが多い花粉症は春のスギ、ヒノキの花粉症です。2月から5月にかけて症状がでます。その他にはイネ科の花粉症は夏(4~6月)と秋(8~10月)にブタクサやヨモギなどの秋(8~10月)の花粉症があります。

(耳鼻咽喉科での検査)

診療施設ごとで検査方法は異なりますが、鼻汁や鼻の粘膜の状態を確認する前鼻鏡検査(図1)、鼻みず中の好酸球の存在を確認する鼻汁好酸球検査、血液の中の抗体の存在を調べるための抗体検査(採血をして調べます)や皮膚テスト(皮膚の中に微量の抗原を注射し、皮膚の腫れや赤みが出るかどうかを調べる検査)、治療方針決定のための鼻のレントゲン検査などを組み合わせて検査します。

図1
(治療)

治療の目標は症状がない状態、あるいは症状があっても軽い状態で日常生活に支障をきたさない程度にすることです。

  1. 抗原除去と回避
    花粉症の場合は花粉を吸いこんだり、目の中に花粉が入らなければ症状は出ませんので、花粉除去用マスクやメガネ、ゴーグルなどの着用や室内では空気清浄器の使用などで花粉を除去したり回避したりが重要です。
  2. 薬物治療
    耳鼻咽喉科ではアレルギー性鼻炎治療薬が処方される事が多いですが、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、ケミカルメディエーター受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬)、Th2サイトカイン阻害薬、ステロイド薬(鼻噴霧用、経口用)など様々な種類の薬があり(鼻アレルギー診療ガイドライン2013年版)、重症度に応じて患者さんに合う薬が処方されます。
  3. 手術療法
    鼻づまりがひどい場合や薬物治療では症状が抑えきれない場合は手術治療が勧められます。外来で粘膜を焼灼する治療や入院が必要な手術もあります。
  4. 免疫療法
    花粉のエキスを少量から注射して徐々に濃度を濃くしていき、適当な濃度になったら間隔をあけ、最終的には月1回にしてその濃度の注射を続けていく方法です。治療期間は少なくとも2~3年は必要で、スギ花粉症での有効率は約70%と言われています。

このように耳鼻咽喉科での花粉症の治療は様々であり、患者さんひとりひとりに合った治療を受ける事ができます。

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