頭頸部腫瘍
耳鼻咽喉科医の専門は、耳、鼻、のどの病気であると一般の方は考えられていますが、実は、頭部、頸部にできる色々な病気も守備範囲です。特にこの範囲の治療を行う専門分野を頭頸部外科と呼びます。頭頸部腫瘍で頻度の多いものには、喉頭(こうとう)がん、咽頭(いんとう)がん、口腔(こうくう)がんなどがあります。鼻腔(びくう)・副鼻腔(ふくびくう)にできる鼻副鼻腔がん、唾液(だえき)を出す器官である耳下腺(じかせん)や顎下腺(がっかせん)にできる腫瘍、身体の代謝に大事なホルモンを分泌する甲状腺(こうじょうせん)や副甲状腺(ふくこうじょうせん)にできる腫瘍も、頭頸部外科で扱っている範囲です。専門的治療を行っている施設では、病期分類や組織学的分類に応じた集学的治療(手術療法、化学療法、放射線療法、免疫療法などを総合的に組み合わせた治療)を行っています。進行癌症例、高齢者や合併症を有するリスクの高い患者さんにおいても詳しい検討をして、根治手術を行って確実にがんを摘出しています。手術と他の治療法をうまく組み合わせることにより、患者さんの治療後の生活の質を保ち長生きしていただくように心がけています。頭頸部がんは一般になじみが薄く、さらに対応可能な施設が限られるため、専門病院での治療が必要となってきます。何か気掛かりなことがありましたら、出来るだけ早く、かかりつけ耳鼻咽喉科医や頭頸部がん専門医を受診してください。