日本耳鼻咽喉科学会香川県地方部会・香川県耳鼻咽喉科医会:香川みみ・はな・のど便利帳

声のかすれ

 声は、肺から流れてくる空気が声帯を通過することで音が発生し、のど(咽頭・喉頭)や鼻(鼻腔)で共鳴して声となります。声帯に問題が生じると声がかすれます。風邪をひくなど声帯に炎症が及んだ時、炎症がひけば数日で治ってきますが、いつまでも声のかすれが治らない場合や、風邪をひいてもいないのに声のかすれが続く時は、何らかの病気が隠れている事が考えられます。
 以下にいくつかの病気を説明します。


・声をよく使う人

 代表的な病気は、声帯ポリープや声帯結節です。
 声帯ポリープは声帯に傷ができて出血を生じ、血豆様となったものが残存したものです(図1)。この場合は手術対象となります。
 対して声帯結節は、声を多用・濫用することで声帯への刺激が持続し、むくむこと(浮腫)が原因とされます(図2)。職種でいうと教師や保育士、インストラクターなどの声のよく使う人、そのほか大きな声をだす子どもにもみられます。治療は声の衛生(声を出す事を控える)や発声方法の指導など保存的治療が第1選択ですが、改善がない場合には手術も検討します。


図1
・たばこをすう人

 ポリープ様声帯や悪性腫瘍ができている可能性があります。声帯全体がぼてぼてに腫れた様になっているのがポリープ様声帯です(図3)。たばこを吸い続けて病変が大きくなれば、息をする隙間がなくなり呼吸困難となる危険性もあります。また、悪性腫瘍(喉頭癌)は、初期には痛みなどを伴う事は殆どなく声のかすれだけの症状のため放置されることが多くみられ、痛みや息苦しさで受診された時には、すでに腫瘍がかなり大きくなっていることがあります。喉頭癌は早期に診断・治療すれば予後の良好な腫瘍であり、たばこを吸われる方で声がかすれる場合は早めに耳鼻咽喉科を受診ください。


図2

 その他にも、声帯を動かす神経(反回神経)に侵襲が加わって声帯が動かない声帯麻痺という病気があります。精査で食道腫瘍や甲状腺腫瘍、肺癌や大動脈瘤等の原因疾患が発見されることがあります。最近では、治療はリハビリ以外に声帯への注射や喉頭枠組み手術といった選択肢もありますので、過去に治療方法がないといわれ放置していた方も一度耳鼻咽喉科で相談されてはいかがでしょうか。


図3

ページトップへ ∧