日本耳鼻咽喉科学会香川県地方部会・香川県耳鼻咽喉科医会:香川みみ・はな・のど便利帳

成人の睡眠時無呼吸

(はじめに)

成人の睡眠時無呼吸(OSA:Obstructive Sleep Apnea, Adult)は生活習慣病の発症要因となり、さらに不十分な睡眠は集中力・記憶力・学習能力や感情のコントロール、作業能率などを障害し、交通事故等の原因となる可能性があります。また近年の疫学研究により、高血圧、不整脈、動脈硬化などを高頻度に合併することが明らかとなっています。

(病態)

成人OSAでは肥満、口蓋扁桃肥大、下顎後退、鼻閉に加えて、アルコール飲用、仰臥位睡眠、加齢、全身疾患(甲状腺機能低下症、神経変性疾患)など複数の要因によって上気道狭窄が形成されます。肥満では舌の付け根や咽頭組織内にも脂肪が沈着するために、気動道が狭小化すると推測されます。

(覚醒時の症状)

日中過眠、記憶力・集中力低下、起床時の頭痛・頭重感などの症状がみられます。

(睡眠時の症状)

睡眠中交互に繰り返されるいびきと呼吸停止、体動(無呼吸関連)、不眠・中途覚醒、夜間頻尿など

(診断)

1999年に米国睡眠医学会が発表したガイドラインでは、終夜睡眠ポリグラフ検査で無呼吸のみならず低呼吸も含めた無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)≧5で、臨床症状(日中過眠、睡眠中の窒息感やあえぎ、繰り返す覚醒、起床時の爽快感欠如、日中の疲労感、集中力欠如)を伴ったときにOSASと診断されるとの基準が提唱されました。また、2005年の睡眠障害国際分類第2版では自覚症状を伴わなくともAHI≧15であればOSAと診断できるとの項目が加わりました。これはAHI≧15では将来的に高血圧や心血管障害など臨床的に重症な合併症を来す可能性が高いことによります

(治療)

厚生労働省研究班による睡眠呼吸障害診療連携ガイドライン治療アルゴリズムによると、AHI≧20では経鼻的持続陽圧呼吸療法(nasal continuous positive airway pressure; n-CPAP)が第一選択、5≦AHI≦20では口腔内装置が第一選択となっていますが、治療前に上気道疾患の評価を行い、適応があれば外科的治療を行うことが勧められています。
成人OSAの約30%に上気道疾患が合併し、高度な鼻閉がある例ではn-CPAPのコンプライアンスが低下するため、n-CPAP治療開始に際して鼻閉の治療を先行して行う場合があります。

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