慢性副鼻腔炎について
顔の骨の中に鼻を囲むように空洞が左右4つずつあり(上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞)副鼻腔と呼ばれています。副鼻腔に炎症が起きると副鼻腔炎になります。急性副鼻腔炎はかぜの一部の症状ですが、急性副鼻腔炎が治らずに慢性化したものを慢性副鼻腔炎と呼びます。
(原因)副鼻腔の出口の粘膜が細菌の感染やアレルギーなどで腫れることにより、副鼻腔に鼻汁や膿汁が溜まった状態になるのが原因です。粘膜の腫れがひどくなると鼻ポリープ(鼻茸)ができることもあります。
(症状)黄色い液体や粘度が高い液体が鼻の前方から出たり(鼻漏)、後ろから出てきたり(後鼻漏)、鼻がつまったりします(鼻閉)。においがわかりにくくなったり(嗅覚障害)することもあります。鼻づまりのため口呼吸になったり、夜間いびきが大きくなることもあります。
(検査)鼻の中を鼻鏡という器具や内視鏡を使って鼻腔内の粘膜の状態や鼻汁の性状を観察したり、レントゲンやCTなどで副鼻腔に影があるかどうかを見て判断します。
図1:副鼻腔から鼻腔内に流れる粘膿性鼻汁
図2:副鼻腔炎のレントゲン写真
(治療)耳鼻咽喉科では鼻、副鼻腔の処置やネブライザーで局所の治療を行います。薬物療法ではマクロライド系の抗菌薬を通常の半分の量で長期間服用する、少量長期投与が有効であると言われています。薬物療法で症状が改善しない場合は手術が行われることがあります。最近は内視鏡を使った低侵襲の内視鏡下鼻内副鼻腔手術が行われることが多いです。手術後は定期的に鼻、副鼻腔の処置に通院して頂くことが重要です。
慢性副鼻腔炎の診断と治療は耳鼻咽喉科でないと難しい疾患の一つです。また、最近、好酸球性副鼻腔炎という難治性の副鼻腔炎が増えています。気になる症状があれば、早めに耳鼻咽喉科を受診して下さい。