慢性中耳炎
急性中耳炎が治りきらず鼓膜の穴から耳漏（耳からの膿）を繰り返す慢性炎症を慢性中耳炎と言います。（慢性化膿性中耳炎）真珠腫性中耳炎というタイプの慢性中耳炎では中耳やその周りの骨を壊して炎症が進行していきます。鼓膜の内側の中耳に液体が貯まって聞こえが悪くなる滲出性中耳炎の一部は真珠腫性中耳炎になっていくので滲出性中耳炎をきちんと治療することは大切です。中耳に感染を反復すると鼓膜や中耳の耳小骨の振動が悪くなる伝音難聴や、中耳の奥の内耳の働きが悪くなる感音難聴が進行します。耳鳴り、めまい、稀には耳の近くを通る神経である顔面神経の麻痺や髄膜炎の原因になることもあります。
慢性中耳炎
真珠種性中耳炎
検査 耳の穴から鼓膜所見を確認します。顕微鏡や内視鏡で拡大するとさらに詳しく確認できます。耳漏がある時には原因菌を調べるために細菌検査を行います。聴力検査で難聴の程度がわかります。CTを撮ると中耳につながる側頭骨内の炎症の程度や骨の状態を見ることができます。
手術を考える場合、鼓膜の穴を人工の膜で塞いでみて聴力が改善するかどうか検査することもあります。（パッチテスト）
保存的治療 細菌感染がある場合には局所処置や抗生物質の飲み薬や点耳液で感染をコントロールします。抗生物質の効きにくい耐性菌が耳漏から出ている場合には時間がかかることもあります。
手術 繰り返す感染を防ぐために、あるいは聴力の改善を目的に手術をすることがあります。鼓膜の穴を塞ぐ鼓膜形成術や慢性炎症部分の清掃や音が伝わるように伝音再建を行う乳突削開術、鼓室形成術などがあります。真珠腫性中耳炎は完全に治すためには手術が必要なことが多いです。耳の状態、年齢、全身状態などにより最適な治療は異なるので主治医とよく相談してください。