日本耳鼻咽喉科学会香川県地方部会・香川県耳鼻咽喉科医会:香川みみ・はな・のど便利帳

アレルギー舌下免疫療法(スギ花粉症、ダニアレルギー)について

花粉症持ちの人々にとって、スギ花粉の時期は大変つらい季節です。皆さんはいろいろと工夫されていることと思います。例えば、外出時にはマスク、サングラス(メガネ)などで完全防御しますし、帰宅時には玄関のドアの前で着ていたコートをしっかり叩き込んで花粉を家の中に持ち込まないようにします。
そういう皆さんに朗報です。スギ花粉症舌下免疫療法という画期的な治療法が開発されました。これはスギ花粉症を治す治療法(いわゆる体質改善)です。毎日、スギ花粉のエキスを含んだ薬を舌下にて保持し、その後飲み込むという簡便な治療です。
スギ花粉症で悩んでいる人にはお勧めの治療ですが、いくらかの制限があります。まずは、スギ花粉症であることを血液検査などで診断する必要があります。原則5歳以上であること。そして、初めてこの治療を開始する人にはスギ花粉症の時期、及びその前後には行えません。初夏(6月〜7月)以後より初回導入治療が開始可能になり、12月までに初回導入治療を終わらせないといけません。
要するに1月〜初夏(5〜6月)の間は初めて治療を受ける人にはできません。初回導入治療は医療施設で行います。以後は自宅で舌下免疫治療を継続することになります。日本では薬(2種類あります)によりますが、増量期が7日間ないし14日間です。以後は維持期になり、毎日舌下します。維持期には月1回の通院となります。
ごくまれですが、強い副作用を起こすことがあります。さらに最低2〜3年以上は毎日治療を継続するという強い意志を持つ人に治療は限られます。残念ながら効果がない人もいます(最近の研究では80%が効果あると言われています)。
また、効果があっても、途中で治療を自己判断で中止されると徐々に元の体質に戻りますので、花粉症が再発します。
この初回導入治療は限られた医療施設でしかできませんので、ご注意ください。
ダニアレルギー舌下免疫療法は、スギ花粉症の治療薬より遅れること1年後に日本で開始されました。この治療もダニアレルギーに対する体質改善になります。日本では薬(2種類あります)によりますが、増量期が3日間ないし7日間です。以後は維持期になり、毎日舌下します。
ただし、スギ花粉症舌下免疫療法に比べて副作用(ほとんどが軽微)の頻度が多いので、注意しながら治療していきます。
ダニアレルギーとスギ花粉症を合併している場合は同時に治療は勧めていません。どちらの治療を優先するかになります。片方の治療が安定すれば、もう一方も追加で治療できる場合もありますので、医師とよく相談してください。

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